第12話

11話:運命の出会い


「………え!!?」「…え、」

と、千里と千冬。

「…へぇー」

と、頬杖をついてニヤニヤする先生。

「……っ!?」

言葉こそでなかったものの、顔を真っ赤にして驚く日菜子。

が、しばらくして先輩は我に返ったのか、日菜子に向けて話しかける。

「…日菜子ちゃんさ、これから用事ある?俺とーー」

「…ストーップ!先輩!日菜子は今忙しいの!それにいきなりは駄目でしょ〜」

勢いでデートに誘う先輩を、千里が止めに入る。

うんうんと千冬も賛同するように首を縦に振る。

「…あ、そか。そーだよな。ごめんね、日菜子ちゃん。また今度誘うわ。」

へへっと照れたように笑う先輩。

「…は、はい!」

日菜子もドギマギしながら答えた。

続けて先輩が思い出したように問う。

「じゃあ仲良くなる…友達になる印にLINEだけ交換してくれない?まずはコミュニケーションから取らせて下さい。」

少し、いつもより丁寧な口調で先輩は日菜子にスマホを向ける。

画面には、先輩のアイコンが写っている。

「…は、はい!」

日菜子は緊張しつつも、自分のスマホを出して、交換している。

その様子を温かく見つめながら、千里は千冬に耳打ちする。

「…先輩、日菜子のこと可愛いって!先輩も分かってる〜」

(……あ〜)

千冬は、千里の一言で、一瞬で理解した。

(…千里、友達が褒められて嬉しいと思ってる…合ってるんだけど…あれは…)

一目惚れ。

これが正解だ。

千里はそれを分かっていない。

と言うか、気づいていない。

千里は千里を全うしている。

先生はそんな周りの様子を見ながら、パンッと手を叩いた。

「…良し、ラブコメ要素も入ったことだ。恋バナでもするか。」

「「「「…えっっっ」」」」

先生の思いもよらぬ言葉に、生徒4人は驚きの表情を浮かべた。

かくして、女子3人(男子2人)の恋バナが、幕を開けるのだった。

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