第5話

第5話:君とハッピーは難しい!


トントントントン


Q:この音はなに?

A:私が机を叩く音。

そう、私は今無性にイライラしていた。

なぜか?

まずは、今日が何の日かが大事である。

今日はホワイトデー。

バレンタインほど、世間は騒がれないけど、私はドキドキしていた。

当日、「明日渡すね」と言われ、(ちゃんと用意してたんだ…)と嬉しくなった。

最初、去年(この時は付き合ってなかった)は「俺はそういうのしないけど、大丈夫?」と言われ、特に何も無かった。

まぁ、私の片思いもあったからだが。

それはそうとて…

付き合ってるんだから、もしかしたらあるかも…

そんな期待が、少しあった。

別に、お返しを期待して、狙って渡したわけではない。

それでも…期待してしまうものなのである。

だが…

そんな約束をした、3月15日。

…の、放課後。

(…全く来ないんだけど!?)

私以外の他の同級生にももらっていたので、朝、彼はお返しを渡していた。

私にもくれるのかな〜、と、少しドキッとしつつも、友達と話しながら様子を伺っていた。

が、こちらに来る様子はない。

(クラスの人達が付き合ってるとは知らないとはいえ、一応2人の時に渡してくれるのかな…)

放課後なのかも、と思ってその時は気にしていなかった。

まぁ、イライラしている…と最初に言ったことから、何があったかは予想ができるだろうが…

YES。

何も無かったのである。

特に示し合わせたわけでも、約束したわけでもなかったので、なんと言ったらいいか分からない。

こちらから聞くのも、なんだか図々しい気がする。

彼に、『お返し狙い』と思われるのが嫌だった。

その余計なプライドのおかげで、事態は余計に悪化し、結局家に帰るまで、何も、本当に何も無かった。

彼から驚くほど連絡もなかった。

彼から渡す、と言われたので、連絡の1つはあると思ったのだが。

(マジでコイツ、本気で言ってる…?)

初めて、本気で怒りそうになった瞬間である。

(そう言ってイライラしていることはこれが初めてではないのだが)

器が小さいと言われるかもしれない。

でも、これは付き合って初めてのホワイトデーなのだ。

ショックがデカすぎる。

そもそも怒っているのは、貰えなかったからじゃない。

私には上げなかったのに、同級生にはあげていたことである。

しかも、異性。

他の人に渡してたってことは、忘れてはないってことよね??

渡す機会は他にもあったよね??

私が友達と話してても、話しかけたらできるよね??

いっぱい言いたいことがありすぎて、困る!!

ほんとに!!

「…あ〜めっちゃ重い女…」

言わないだけ偉い、と言いたいとこだけど。

こうやってもんもんと悩んで、自分の気持ちだけで一喜一憂、感情の波が激しすぎる私が、自分でも嫌いすぎる…

自覚してるのも、"重い女"枠すぎて、更にメンタル低下。

1度、メンタルがダメになると、ずっと引きずる私は、ネガティブ思考がズルズルと芋ずる式に流れてくる。

だから、今もベッドで傷心中。

(…でも、明日、デートに誘ってみようかな…腹割って話すために!)

そう思ったら一直線!!

ようやく少しだけ、ほーーーんの少しだけ、メンタル回復!

とりあえず、連絡だけして、返事待ち。

スマホをベッド横に放り投げ、自分は大の字になる。

何を話すか、頭の中でまとめながら、目を閉じた。

夕日を眩しく思いつつ。

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