第6話

第6話:嘘でも私の事、愛してね


好きなの。貴方のこと。

笑う時できるえくぼも、手を繋ぐ時温かくなる手も、ぜんぶ、ぜんぶ大好き。

でもね、満たされないの。

瞬間瞬間はときめくのに、ふとした時に心が空っぽになる。

ほんとに好きなんだよ?

心の底から大好き。

でも君は…私とは違う。

私と同じ感情は持ってない。

分かってる、分かってた。

告白する前から、片思いの時からずっと…それは分かっていた事だった。

好きにならなくても良いから、と告白したのは誰だったっけ…

後悔なんてしたくない。

告白して後悔した、その感情だけは持ちたくない。

それなのに、ついその言葉が思い浮かんでしまって、自分が嫌いになる。

私の感情はなんて、我儘。

自分から告白したのに、今、そうやって悲観になって『可哀想な女の子』をやっている。

そう思うことが、自分が、大嫌い。

愛を感じられなくて辛いのも、嫉妬心で苦しいのも、傍にいられて幸せなのも、ときめくのも、ぜんぶ君から。

君からしか、得られないの。

だから私は、君と離れることはできない。

別れたくないし、離れたくない。

離したくない。

君はそこまでの思い、ないでしょ?

私に対してそこまで興味ないもんね。

…分かるよ。好きだもん。

分かってるのに、付き合うのは辛い。

それでも離れられないから、尚更。

持続維持しか、方法を知らないんだよ。

君と離れられないのは、私。

私だけ。

好きになってもらうのは、諦めた。

このままでいいの。

今は、君が私の傍にいてくれるだけでいい。

私が会いたいと言ったら、会いに来てくれたら、それでいい。

LINEしたら素っ気なくても良いから、返すだけでいい。

君からくれる『好き』と言う言葉は魔法だ。

私は信じられないけど。

今の私は、君の好意を受け入れられない。

この感情は、私も良く分からない。

君を好きと言う気持ちは変わらないよ。

でも、しばらくは、君の好きを信じられそうにないや。

こんな、めんどくさい彼女でごめん。

それでも今は…一緒にいて。

安心させて、満たさせて。

好きと言って。

それが本当でも、嘘でも、何でも良いから。

今はとにかく、言葉が欲しいの。

君と関係を続けたいから。

だから…だからね、

嘘でも私の事、愛してね。

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