第27話
僕は男が好きというわけじゃない。
実際今まで付き合ってきた子たちはみんな女の子だった。
まこのことは……
はっきりと気持ちに気づいたのは、この高校に教師として就任して間もなくの頃だった。
気づいたら好きになってた。
同じ大学だったにも関わらず大学時代はあまり話したことがない。けれど出身大学が同じだと気付いたのはまこの方が先だった。それからというもの、歳も一緒だし何かときさくに話しかけてきて、プライベートでも飲みに行く中になって、それこそ高校生のようにお互いの家に気軽に行き来するようになった。
とは言っても僕らはもう高校生じゃない。お互い一人暮らしだったし、親の目を盗んであけっぴろげな話をひそひそしたり、ゲームに夢中になったりすることもなかった。
大抵、給料日前になると外で飲むより家で飲んだ方が安くつくから、と言う理由で行き来していたが、それでもお互い大人になったにも関わらず男同士が集まるとどうしても猥談に走りがちだが、そう言う話もまこから聞いたことがないし、僕も喋ったことがない。どちらかと言うと僕はその手の話が苦手だ。だからまことの付き合いは楽だった。
そう言うところなのかな。僕はまこに同性ではなく、それ以外の目で見てしまうのは。
目が彼を追ってしまう。
彼の全てを知りたくて、質問攻めになってしまう。
彼と同じ空気にいたい。
欲望は果てしない―――
「雨……最近よく降るな。俺、今日歩きなんだわ。お前置き傘持ってない?」
煙を吐き出しながら、まこは忌々しそうに眉をひそめて言った。
「置き傘なら、車に積んだのが……」
『アリガト。』
ふいに鬼頭の笑顔を思い出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます