第26話


「分かってない……」



まこは自分のタバコの先を僕のタバコの先にくっつけた。





いや、分かってないのは、



まこの方だ。





僕がくわえたタバコの先が赤く色づく。



「あ、ありがとう……」



僕は顔を背けた。



「お前、今度楠 乃亜みたいな生徒と関わると、今度はお前が崩壊するぞ」



まこは至極真剣な口調で言った。



突き刺さるような言葉だ。



実際壊れかけた。



まこは、僕のせいじゃないと言う。



だけど、僕は自分のせいじゃないと言って逃げることができない。



楠が何かに悩んでいたのなら、僕は彼女の言葉に耳を傾け真剣に話を聞いてやることができた筈なんだ。



彼女は絶対に許されない恋をしていると言っていた。それが誰だか分かっていない。



楠 乃亜が自殺未遂を起こした、ということで当然学校まで警察がきた。何かに悩んでいなかったか、仲の悪い生徒はいなかったか、苛めにあってなかったか、等。



悩み事は……あったかもしれないけれど、これは流石に個人情報で僕は言えなかった。楠は男女とも好かれていた…ように見える。ゆえに苛めを受けていたなんてことは考えられなかった。他の教師も同様、『苛めは感じ取れなかった』と報告した。



警察が事情を聴きに来たのは、楠が自殺未遂をする際、遺書なるものを残していかなかったのも原因の一つだ。



僕は―――





彼女に言ってやるべきだった……




それは僕も同じだよ。








僕は親友の林 誠人が―――









好きなんだ……




許されない恋、してるんだ。





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