◆午後5時の雨◆
第20話
◆午後5時の雨◆
◇◇◇◇◇◇◇◇
半年間、神代の助手―――
テストを白紙で出して、神代はどう出るかと思ってたけど、まさかこんな風に来るとはね。教育委員会のワードを持ち出してもあいつは怯まなかった。一見して生徒に流されやすそうなのに、芯はしっかりしている。
案外、一筋縄じゃ行かなさそう。
でも、あたしはこの展開をちょっと楽しんでいる。神代は狼狽えることなく最後まであたしから視線を逸らさなかった。それがあいつの手なのかもしれないけれど、あたしには通じない。
中学のとき女子たちから苛めに遭ったとき返り討ちにしてやった。あの時の爽快感を思い出す。やっぱり戦い甲斐がないと、ね。
あたしは昇降口で雨空を見上げた。
雨は一向に止みそうにもない。
午後五時。生徒たちは下校して、周りには誰もいない。屋外部活動組も体育館に避難しているだろう。
静かだった。とても……
この世界の静寂を集めたような、そんな静けさだった。
「てか、傘持ってないし……」
どうしよう、と考えてると遠くからあたしを呼ぶ声がした。
「鬼頭!」
神代だった。
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