第15話


次の日の午後からも雨が降った。



しとしと、と教室の窓を打ち付ける雨の粒を恨みがましく睨んだ。



天気予報では一日晴れだっていってたのに。



だから今日は傘を持ってきていない。



止むまで待つ……?駅まで走ろうか…コンビニで傘を買うのは勿体ないな~……



そんなことをぼんやりと考えていると、




「鬼頭」




名前を呼ばれた。




神代だ。




帰りのホームルーム前で、と言ってもホームルームで話すことなんてほとんどない。たまに行事なんかの連絡事項を伝えるだけで5分にも満たない。


だからみんな早く帰りたそうにしている。



「はい」あたしは無愛想に返事を返す。



「今日、放課後、数学準備室に来るように」



神代は腕を組んで、あたしを見下ろしていた。その表情は少し怒っている…というより呆れていた。



あたしはふっと視線を逸らすと、神代の見えない角度でふっと笑った―――







罠にかかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る