第14話
あたしは濡れた髪をちょっと掻き揚げた。髪の先からあたしの香水と混じってほんの少し雨の匂いが漂ってきた。
「あいつは色仕掛けじゃ落ちないよ」
あたしの言葉に明良兄はちょっとまばたきした。
目が『どうして?』と語っている。
「だって学内で一番きれいな三年の先輩が神代に迫ったらしいけど、ダメだったっていう噂だもん」
「へぇ。そんな話聞いたことねぇや。単にタイプじゃなかっただけじゃね?だってあいつ……認めたくないけど、女生徒にモテるんだぜ?」
「あたしが入学してから数ヶ月探ってたけど、そうゆう浮ついた噂は聞いたことがない。特別女生徒を贔屓扱いしてないし。
何て言うか、生徒の方も神代をアイドル扱いしてるだけ、って感じで。
それともよっぽどうまくやってるかのどっちかだね」
ま、あたしとしては後者の線が強いと思うけど。
「じゃ、これから先どうするんだ?」
明良兄の問いにあたしはのんびり答えた。
「気長にやるよ。ま、少しずつ仕掛けはしていくつもりだけど」
口の端でにっと笑う。
明良兄はちょっと息を呑んで口を噤んだ。
実際、仕掛けはした。
これで神代が乗ってくるか……
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