◆午後4時の憂鬱◆
第11話
◆午後4時の憂鬱◆
◇◇◇◇◇◇◇◇
「鬼頭!帰るの?」
ふいに呼びかけられて、あたしは振り返った。
同じクラスの梶、こと
あたしが唯一クラスで親しくしてる男子。
親しく、って言っても友達かと聞かれれば「No」と答えるだろう。別に好きでつるんでるわけではない。
梶が一方的に懐いてきて、最初は適当にあしらってたものの、こいつはくじけず纏わり付いてくるから何となく仲良くしてるって程度。
『好きだ』と告られたわけでもない。そもそも梶があたしにそういう気持ちを持っているのかどうかも謎だけど。
「帰るよ」
「なら途中まで一緒に帰ろうぜ」
にぱっと人懐こい笑顔を浮かべると、梶はあたしの近くに顔を寄せた。
あたしは露骨に顔をしかめる。
「ヤだよ。一人で帰って。何であたしが梶と?」
「梶く~ん♪あたしたちと一緒に帰ろぉよ」
すぐ近くで同じクラスの女子たちの声が聞こえた。
梶は一見してちょい悪なヤンキーだけど、何故か女子から人気があった。カースト制度なんてあたしは興味もないけれど梶は間違いなくカーストのトップにいる方。勉強ができるってタイプでもないけどスポーツは抜群。男女とも人気があって
でもそんなヤツが何であたしなんかになついてくるのか。
てか、こんなやつのどこがいいんだか。
「呼んでるよ」
あたしの冷たい声にも、梶は堪えてないみたいで苦笑しながらも拝む仕草をする。
「傘無いんだ、いれてってよ」
「やだよ。面倒。あの誰かに入れてもらえば?喜んで入れてくれるよ」
あたしは梶を呼んでいた女子たちを目配せ。彼女たちはちょっと不機嫌そうにあたしの方を睨んでいる。
「鬼頭のがいいもん」とまたも言い返される。
「だからイヤだ、って」
しれっと言い、あたしは傘をさした。
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