第9話


僕は俯いた。



その言葉が心に響く。それはいつも重くのしかかってくるような……



「あ~!俺が悪かった。そんなに落ち込むなよ」



別に落ち込んでるわけじゃない……



ただちょっと、考えてただけだ。





「楠 乃亜の自殺未遂はお前のせいじゃない。



お前はずっと相談に乗ってたんだろ?」




まこは唐突に言い出した。



本当に……唐突に……




楠 乃亜の名前を出されたのはどれぐらいぶりだろうか。



それは僕がずっと抱えてる悩みでもあり、謎でもあった。



彼女は何故自殺なんて図ったのか。



「そうだけど……


結果的に僕は彼女を救えなかった」



「死にたい奴はどうあっても死ぬさ。


お前が救えるんなら楠はとっくに救われてた」




まこは冷たくそういい切る。



でも……



本当にそうだろうか?







「ほれ、今月分の薬」



そう言って薬の紙袋を手渡される。



「……いつもありがとう」



楠が自殺を図ってから僕は眠れなくなった。



食事も喉を通らなくて、一時は一か月で5キロも痩せた。



まこが大学病院で貰ってくれる睡眠薬がなければ、今でも眠れない。



眠ったままの楠が早く目を覚ませばいいな、と願わない日はない。



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