第8話

「何だよ、ロリコンか?生徒にだけは手出すなよ。教育委員会に訴えられて即解雇だ」



「ご忠告どうも。でも気になるってそういう意味じゃなくて……」



僕は先日行われた中間考査の答案用紙をぺらりとまこの前に出した。



「白紙……だな」



「白紙……だよね。やっぱり」



名前の欄だけには記入がしてあって“鬼頭 雅”となっている。



「きとう みやび?」



まこは名前を読み上げた。



だが、すぐに机に視線を戻すと、やりかけの書類にかかった。あまり興味が無さそうだ。



まぁ無理も無いか。だってまこにとっては興味以前の問題に、関係が無いわけだから。



「そんなの追試でいいんじぇねえか?何か問題でも?」



「追試、するほど成績が悪くないんだ……むしろ全教科満点を取るような子なのに」



「じゃああれだ!お前に対する嫌がらせ!」



まこはぽんと手を打った。






嫌がらせ……







される覚えはないんだけど。



「お前何か恨み買ったんじゃないか?」



まこは無関心そうにさらりと言ってのけた。まぁ、昔から他人のことにあまり興味を持たない性格だからしょうがないっちゃ、しょうがないが。




でも―――





恨み……?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る