第6話




◆◆◆◆◆◆◆◆






1-Bの教室



窓際の真ん中あたり。



そこが鬼頭 雅きとう みやびの席だ。



彼女は僕をいつも射るように見つめてくる。



まっすぐに。



かと思えば、時折とことんまで心を許しているように見える。



不思議な少女だ。



黒い長い髪。吸い込まれるような黒いガラスのような大きな目は絶妙な角度で僅かに吊り上がっている。



白い肌に、赤い赤い……まるで熟れたりんごような唇。







美少女だった。






今流行りのアイドル顔負けの……。クラスの半分の男が彼女に恋してるという噂を聞いたことがある。



しかし僕の授業を受けるときはあまり真面目とは言えない。



いつも睨むようにまっすぐに、僕のほうを見ていたと思えば、すっと余所見をする。



しかし、成績は常にトップ。



僕の受け持つ数学だけじゃない。全教科において……だ。



時々僕は彼女の頭の中を覗き見たくなる。



不思議な少女。




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