第4話
第3話:異世界でもバカップル続けます!
婚約破棄…というより、結婚宣言が終わった後、リズはお姫様抱っこの状態のまま、ルイの部屋に直行された。
そしてそのまま、ベッドにボスンと体が着地した。
彼の顔が、これでもかというほど、間近に迫っている。
「…は、ルイくん…!?」
隼人くんと呼ぼうとしたが、ここはもう異世界なので、ルイと呼んだ。
ルイは私の声など聞こえていないのか、無視して、とうとう私の首元に近づきーー
カプッッ。
「いたっっ…!!」
優しくない…少し強めに噛みついてきた。
歯の感触と、熱い吐息がかかる。
ちゅうっ。
今度は何かと思えば、首にキスをしている。
ちゅっ ちゅっ ちゅう、ちゅ…っ…
一回だけでは止まらず、何回もしてくる。
首元は見えないが、赤い点々が数か所出来ているだろう。
痛いけど、気持ちよくて、ルイの袖を握る手が強くなった。
止められない。
「…は、んっ…!ルイく、やめっ…!」
「やだ、まだリズ(愛実)が足りない」
そういって、私の両手を頭の上に拘束させる。
ルイが、それを片手で押さえた。
そして今度は、口にキスをしてきた。
「…ん…ふっ…ッ!んんっ…!」
単にキスするだけでは飽き足らず、ルイの舌が私の舌と絡み合う。
くちゅ、くちゅ…くちゅ…
思わず、同じように返す。
体が熱くて、鼓動が早くなるのを感じる。
暫くそうして、私がクタクタになった時、ようやく彼は解放してくれた。
そのまま、ひょいっと自分の膝に私を乗せる。
「…ルイくん…どうしたの、急に…」
ハァハァと息を整えながら尋ねる。
「…愛実と、1日と7時間34秒離れてたんだよ?俺は全然足りないのに…愛実はそうじゃないの?」
急に目つきが…変わった。
まるで、拒否を一切させないような…そんな目。
隼人くんが、良くする目。
「……ッ!そんなことは…ッ!」
私の目を見ながら、指をガリっと噛んでくる。
少し、強かったからか、血が滲む。
ルイはその血をぺろりと舌で舐めとる。
「…だから俺だってすぐに気づかないんだ。死んでも一緒にいたかったんじゃないの?俺だけ見てよ」
悲しそうなーーだけど、怒気をはらんだ声色。
俺だけ見てれば良い、そんなことを言っている気がした。
指だけじゃなく、首も噛んでくる。
そこには優しさはなく、ただただ血が流れるだけ。
(どんなルイくんでも好きだけど…このままじゃ死んじゃう…!)
こうなったルイ(隼人)くんは、私でも止められない。
だからーー。
ちゅっ
両手で彼の頬をつつみ、顔を近づけて、キスをした。
暴走した隼人くんを止める、唯一の方法。
ほら、顔中が真っ赤になってる。
隼人くんは攻める癖に、逆に攻められたら弱いんだよね。
(まあ、そこが可愛いんだけど!)
「愛実ちゃ…」
「”隼人くん”大丈夫。私は隼人くんしか見てないし、大好き。いきなり転生してて、戸惑ってただけなの。ごめんね」
嘘は言っていない。
戸惑っていたのは、周知の事実なのだから。
「…そうだね。愛実ちゃんがそんなわけないよね。…愛実ちゃんには俺だけいればいいもんね?」
少し遅れてルイは明るい返事をした。
「うん!私には隼人くんだけが必要だよ」
一件落着!
…と、もう一つ言っておかなきゃいけないことがあるんだった!
「ルイくん!」
私はなでなでコースへと変えたルイへ顔を向ける。
「なあに?愛実ちゃん」
私の髪を優しく撫でながら言うルイ。
「私のこと、”リズ”って呼んでほしいな。一応、ここでは私、リズ姫?だし。愛実って呼んでたら怪しまれるし!それにー」
髪を撫でていたルイくんの手を取って、私の頬に触れさせる。
「リズとルイでようやく結婚できたんだもん。異世界の夫婦でも、愛してほしいなって♡」
「……分かったよ。…リズ」
しばらく驚いたのか、目を見開いていたが、次には優しく微笑んでいた。
クヴェル・ルイ・ウィングランド。
転生前は最高の彼氏。今は、最高の旦那様です!
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