第2話
第一章 mission1: why are you here
「…お前…何故、ここに…。」
口が悪くなりそうなのを抑えながら、目の前の女性に問う。
心を落ち着かせようと深呼吸をする。
冷や汗がこめかみに流れる。
「…私は自分の足でここまで来ました。」
「そう言う事を聞いてるんじゃない。…なんでここに来れたんだ、と言ってるんだ。」
僕の家族を殺しておいて、飄然と来れる事にまず驚いている。
しかもメイド服まで着て。
…一体何があって被害者の家に来れるのだろう。
…謝罪…をするようには見えない。
むしろ、残された僕を殺しに来た、と言われた方がしっくりくる。
絶対嫌だけど。
僕は彼女を殺すまで…絶対に死ねないのだ。
「…そう言う事でしたか。そんなの簡単な事ですよ、おぼっちゃま。」
「…僕はおぼっちゃまじゃない。」
「…では、ご主人様。」
何が言いたいのだろう、この人は。
「…ご主人様でもない。僕は君の何者でもない。」
「…そうですか…。でも、聞いて変わりますよ?」
「…何が。」
聞いて変わるわけが無い。
「…私を殺す訓練をしましょう。」
落ち着いた様子で微笑んだ。
……出会った時と同じ笑顔で。
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