第34話


「あ、朔羅さん」



ちょっと驚いたように目をぱちぱちさせている。



「お前、今日昼はどうすんだ?」



「どうって……決めてないけど。学食があるよね?ここ」



のんびり言うメガネの前にあたしは弁当箱の一つをずいと突き出した。



「え?」



メガネが目をぱちくりさせる。



「…弁当。一人分増えても作るのには変わんねぇから」



メガネは弁当の包みを受け取ると、再び目をしばたいた。



「え?もしかして…朔羅さんが、作ったの?」



「何だよ。文句あっか?」



「ううん」



メガネは慌てて首を振った。



「毎日、作ってるの?」



「そうだよ。野郎どもに任せると肉ばっかなんだよ。栄養偏るだろ?」



「…意外だ…」



「あ?似合わねぇって言ってんのか?」



シバクぞ、こらぁ!



と言おうと思ったら、メガネの顔からにっこりと笑顔がこぼれた。








う゛!!!




何だよ、その眩しい笑顔は!!?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る