第32話


「はぁ。よろしく……」



あたしは曖昧に返事を返した。



「俺!俺はね、C組だった山田!よろしく、龍崎さん♪」



「よ、よろしく」



「俺は…」



「俺は!」



いつの間にかあたしの周りには男子がいっぱい。



わ゛~~~!!!!近寄んなっ!!



同じ年代の男子って何か苦手なんだよ。



男子の群れの向こう側にリコの姿を発見して、あたしは手を伸ばした。



「リコ!!」



「朔羅、大丈夫?」



リコはあたしを手招きすると、自分の方へ引き寄せてくれた。



男子たちは諦めたのか、わらわらと散っていく。



「相変わらずのモテっぷりねぇ」



リコが呆れたようにため息を吐く。





別に……



モテたくモテてるわけじゃねぇよ。



ていうか、あれは「モテてる」ってことになるのか??



新手の嫌がらせじゃねぇの?



「大体、あたしのどこがいいわけ?」



そこんとこ、マジで教えてほしい。



「ん~……やっぱ可愛いから?朔羅はいかにも儚げな美少女って感じだもん。あたしなんて男勝りだし、朔羅がうらやましいよ」





いやいやいや……




誰が儚げな美少女だって?誰が可愛いって??



みんな目ん玉腐ってンよ。







ホントのあたしを知ったら、みんなどん引きするに決まってる。



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