第16話


かっこよくて、背が高くて、声が渋くて、スタイルが良くて足が長くて。



叔父貴は超がつくイケメンだ。



くっそぅ…ヤクザにしとくのはもったいない面だぜ。





「随分早かったな」



叔父貴はさっきのドスの利いた声をどこかへしまいこみ、優しい声音であたしを見た。



叔父貴はいつだってあたしに優しい。



うぬぼれていいのかな。



ちょっとはあたしのこと、女としてみてくれてるって。




「走ってきた。叔父貴に会えるかと思って」



「お前は相変わらず可愛いな。まあ、そこに座れ」



か、可愛い!!!



あたしは顔から火が出る思いで、革張りのソファに腰を下ろした。



叔父貴も向かい側に腰を据えると、すぐに秘書だと思われる女の人が現れて、紅茶のティーカップを運んできてくれた。



仕立てのいいスーツを着たきれいな女の人だ。



いかにもデキそうって感じで、叔父貴の隣に並んでいても違和感がない。



飲み物を持ってくるタイミングも、あたしたちの好みも熟知している。




くっそぅ。あたしだって10年すりゃ…




あたしは悔し紛れに紅茶のカップに口をつけた。








「へぇ。朔羅さんもそんな顔するんだ。意外な一面を見たな」




ブーーーー!!!




あたしは飲んでた紅茶を吹き出した。





今朝の死体男―――




しかもさっき転校してきたばかりのそいつは、いつの間にか叔父貴の後ろに回りこんでいて、腕をソファの背もたれに乗せていた。





な、何でこいつがここにいるんだ!!!



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