第14話


株取引と物流を手広くやって資金を転がしてる叔父貴はこの“龍崎グループ”を3年前に立ち上げた。



本人は会社経営は「ほんの道楽だ」とか言ってたけど……



道楽でこんなでっけービル建てるなんて、あんた只もんじゃねぇよ。



ぶつぶつ思いながら、あたしはエントランスホールへ足を運んだ。



受付のおねーさんに、



「龍崎 朔羅ですけど、会長と約束してるんですが」



と声を掛ける。



「お待ちください」



おねーさんは、にこにこして頷いたものの、隣にいるお姉さんにちょっと目配せして内線電話をした。



あたしはちょっと離れて待つことにした。



電話を切ったあとで、



「ねぇ、あの女子高生また来てるね。まさか…会長の恋人?」



「まさか!女子高生でしょ?それに苗字も同じだし、親戚とかじゃない?」



「そうよね。だってまだ子供だし。第一あの会長があんな女子高生相手にするわけないよね」



って、ひそひそ話をしてる。






って、聞こえてるっつーの。




まぁ、あたしは傍から見たらただの女子高生で……



今のあたしがいくら頑張ったって、おねーさんたちみたいな綺麗で色っぽくはなれないけど。






叔父貴がまともに相手してくれるわけでもなくて。




それが切ない。



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