第13話


「バイバ~イ」



リコの明るい声にも返事を返してあたしはいそいそと教室を出た。



ほとんど走るように校舎を出て、電車に飛び乗った。





叔父貴に会える。





大好きな叔父貴に。






それだけで、今はいっぱいだ。





――――




「相変わらずでっけービル」



あたしはドンと建ちあがった灰色のビルを見上げた。



洗練されたデザインの幾何学模様を描いたガラスがキラキラ光っている。





青龍会十代目―――龍崎 琢磨はあたしの叔父だ。



死んだ母さんの弟で、27歳。独身。






日本の極道は今、4つの巨大勢力に別れている。



東の青龍、関東一帯を統治している。うちの組もそこに属している。



南の朱雀会は九州地方、沖縄を。



西の白虎。これは関西一帯を。



北の玄武は福島などの東北地方から上を、各々がそれぞれの役目を担い治めている。





これが極道の実体だ。





中国の四神を象ったもので、極道の中でも伝説は存在する。



四神の中央、ただ一人がその座を許される







黄龍こうりゅうの存在が。






“帝王”との異名も持つその存在は極道の中で絶対的な存在。





日本に5万と存在する構成員のうち、ただ一人頂上に君臨する者。







それが―――龍崎 琢磨りゅうざき たくまだ。




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