第92話

「大丈夫?」


「あ、うん。なんかもう大丈夫みたい」



仮病だったはずなのに外に出た途端、さっきよりもすっきりとした気分だった。


きっとヒカリの事を無意識に気にしてしまっていたのだろう。



「なんだ、よかった。でも季節の変わり目って体調も悪くなるよな」



何も知らない将暉は見当違いな事を呟いている。


将暉も私がタイムスリップをしている事を信じてくれたなら、もう少し何かやりようがあるかもしれないのに、と思う。



それでも榛野のおかげですでに過去は少しだけ変化をもたらしていた。


仮病を使わず、最後まで5人でカラオケを楽しみ、最後にあの写真を撮るはずだった過去はすでになくなっている。



ここからは新しい過去になるのだ。


何か未来を変えられる方法はないだろうか。

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