第91話

「ああ悪いな、じゃあ俺えりぃ送ってくるわ」



将暉は当たり前のように私の手を取り立ち上がると、最後に黙ったままのヒカリに



「またね」



と声をかけた。




ヒカリは私たちの繋がれた手をちらっと横目で見ると静かにお辞儀をし、それ以上は何も言わなかった。



「なんかごめんね、せっかくカラオケ来たのに」



カラオケを出て 歩きながら、私はなんだか申し訳ないような気持ちになって謝った。



「なーに言ってんだよ。えりぃに無理させてまでカラオケいたいわけないだろ」



彼はそう言いながら、握られた手をぎゅっと一度強く握り返してきた。



「・・・ありがとう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る