第89話

こうしてタイムスリップをしている時、私は常にどこかで孤独を感じていたと思う。


過去にいる今の自分と、本当の過去の自分とでは全く別のものに思えて、右も左もわからない真っ暗闇の宇宙に突然放り込まれたかのような不安や、孤独感があった。


もちろん誰に言っても信じてもらえないどころか、不審がられてしまう中で、そんな榛野の存在はとても心強かった。



「どうして榛野は信じてくれるの?こんな話」


「信じたいから」



榛野は当然の事のようにきっぱりと言った。



「信じたいから?」


「うん、誰かと結婚してる私の幸せな未来」



ふとその時、榛野がこれから結婚しようとしている相手は本当に榛野の事を幸せにしてくれる相手なのだろうかと思った。

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