第76話

ヒカリの視線の先にはすでに将暉の姿が映っている。


もしこのまま将暉の下に向かってしまえば、将暉とヒカリはまた出会ってしまうのだ。




過去を変えたかった。



私は、将暉と繋がっていられる23歳の私を夢見ている。


けれどこの状況を好転させる方法が見つからず、私は仕方なく彼に手をふり返し、結局ヒカリと一緒に榛野のあとを追うことになってしまった。



「ごめん、いきなり来ちゃって」



将暉は少し照れくさそうに顔を赤らめて私に言った。



「ううん、大丈夫だけど。どうしたの?」


「いやこいつがさ、えりぃの事見たいって聞かないもんだから」



改めて視線を移してみて、そこでようやくその彼が“コウ”である事に気がついた。


彼は将暉の高校の同級生であり、彼の親友だった。

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