第72話
「絵里帰ろう!」
そう呼ばれて振り返ると、そこには同じ制服に身を包んだ榛野が立っていた。
「榛野!」
私は思わず声を上げて立ち上がった。
榛野と会うのは4年ぶりだ。
とはいってもこの時代の榛野に会ったのはもっと前だけれど。
「え、何どうしたの?」
彼女はマスカラをたっぷり塗りたくったまつ毛を瞬かせながら首を傾げた。
「いや・・・なんていうか、若いね」
今の私が言うのはおかしいとわかってはいたが、言わずにいられなかった。
彼女は意味がわからなかったのか、きょとんとしている。
「何でもないの。ねえ、今日って何月何日?」
「今日?今日はえっと、7月2日」
彼女は自分の携帯を開き、確認しながら言った。
「やっぱり」
「どういうこと?」
「ううん、なんでもない」
私は机の上のバッグの中から自分の携帯電話を取り出してみた。
昨日、将暉からもらったあのストラップがぶら下がっている。
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