第67話

私はそれを受け取り、そっと手のひらで眺めた。


これをもらった日、それは過去で将暉と私が付き合う事になった思い出の日だった。


だから私にとってこのストラップはただのストラップ以上の価値を持って現代まで保管され続けてきたのだ。




「・・・ねえ、私たち別れたりしないよね」



思わずそんな言葉が口をついて出ていた。



「たった今付き合ったばっかで気が早いな」



彼は苦笑しながら、私の頭を優しく叩いた。



「・・・でも、聞いておきたくて」



無駄な事でも何か出来るときにしておきたかった。


たった1つの口約束でも、それがいつか大きな効力となって2人を守ってくれるかもしれない。


そんな風に思いたかった。



「別れないよ。運命って言ったじゃん」



彼はまたそう言って笑う。


「約束出来る?」


「うん、約束する」



信じたい。


今はこの言葉をただ信じていたい、そう思った。


その彼の言葉は、23歳の私の心の中に深く刻まれた。

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