第66話

「・・・私も運命かもって思ってた」


「まじ?」



17歳の彼はまだ、この先に待っている別れの事など知らずに初々しい笑顔で私を見つめている。





・・・なぜ、私たちは別れたのだろう。


この時の彼の“運命”という言葉はきっと嘘なんかではなかったはずだ。


なのになぜ・・・。




過去を体験すればするほど、その気持ちはまた膨らんでくる。



「あ、これあげる」



そういって彼はポケットからある物を取り出し、私に差し出してきた。



「これ・・・」


「ほら、俺携帯変えたでしょ。あの携帯にはストラップつけられないからさ。付き合った記念っていうか」




彼が渡してきてくれたのは、私が今日タイムスリップした時に手にしていたあのストラップだった。

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