第64話

「あー、よかった」



将暉はそう言って少し照れくさそうに微笑む。



「振られると思ってたの?」



私は恥ずかしさに唇を噛みながら尋ねた。



「ううん、大丈夫だと思ってた」


「わっ、すごい自信ですね」


「冗談だよ。本当は超不安だった。だけどさっき迎賓館の前で手合わせてきたから、もしかしたら大丈夫かもって思ってたかな」


「迎賓館?」



意味がよくわからずに私は聞き返す。




「あそこ、パワースポットなんだよ」


「パワースポット?」


「そう、あの迎賓館がある赤坂御用地の辺りには龍脈っていうのがあって」




以前彼が話していた事だ。




「富士山から流れるエネルギーが赤坂御用地に流れてるってやつ?」


「え、えりぃ知ってるんだ」




彼は驚いたように私を見つめた。

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