第63話

「・・・私も」



その私の言葉で、彼の表情がパッと明るくなったのがわかった。



「じゃあさ、俺たち付き合おうよ」




6年ぶりの告白の言葉は、私の口からではなく、彼の口から告げられた。


それはとても純粋で、生まれたての風のように無邪気で無垢なものだった。




私はまた将暉とこうしてそばにいられる事をどれだけ願っていただろうか。


長い月日はいくつもの季節を越えて、その思いは時に熱を持ち、時に枯れ果て、時に溢れる物に変わってきた。


私はきっとこの時の2人のためにタイムスリップしてきたのだろうと思った。




もしこのタイムスリップで未来が変えられるのならば、今度こそ私は絶対に彼と別れたりしない。


彼が別れようと決意した理由はわからないけれど、きっと上手くやってみせる。




プライドも見栄もなげうってでも、彼を未来につなげたい。


そのためなら何度でも過去を変えようと思った。



「・・・うん」



私は狭い傘の中で小さく頷いてみせた。

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