第62話

「・・・えりぃはどう思ってんの?」


「どうって、何が?」



高鳴る鼓動を抑えて私は尋ねた。



「俺の事だよ、どう思ってるの?ただの友達?」



彼の事を友達だと思った事なんて出会ってから今まで一度だってなかった。




初めて彼に出会った時、きっとあんな出会い方をしてしまったから余計に私は彼に対して、運命だとか、宿命だとか言う言葉を当てはめていたと思う。


そうでなければ、彼と連絡をとらずにいた長い年月を通しても思い続ける事は不可能だったはずだ。



「・・・俺はえりぃの事好きだよ。友達なんて思ってない」



彼ははっきりとした口調でそう言った。




1つの傘の下で私たちはお互いの事を見つめている。




もし私があのカフェで告白をしなかったとしても、私たちはやっぱりどうやっても付き合っていたのだという事を、私はこの時に知った。


あの時の私たちは確かにお互いの事を好き合っていて、そこにはまだ、何も邪魔するものはなかったのだ。

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