第60話
本当の私というものがあるとしたなら、きっとこの時代に置いてきていたのだろう。
そこにいる私はしっかりと自分の感情を持っていて、自分をいつも客観視していたもう1人の自分はいなかった。
———私は今でも彼に恋をしている。
昨日彼と久しぶりの再会を果たしたその瞬間から、私は無意識のうちにその事に気付いていたと思う。
どんなに年を重ねていたとしても、離れていたとしても、思い出す事がなかったとしても、あの不完全燃焼に終わった恋は今でも確かな熱を持ってこの胸の中に潜んでいたのだ。
そしてこの瞬間、あの頃の煌めきが蘇ってしまったのだった。
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