第50話

私は昼過ぎに、昨日と同じようにまたあの交差点へと足を運んでいた。




もし私の勘が正しければ、またタイムスリップが出来るかもしれなかった。


これが成功したら、私はまた将暉に会えるかもしれない。


そう考えただけで無意識に胸は弾んだ。




私は交差点の前で、家から持ってきたあのストラップを握りしめている。



“どうかもう一度過去に戻らせてください”



私は強く、心の中で願った。





鬱蒼とした緑は風に揺らめき、交差点の向こうで私を待ち構えている。




信号が青になる。


私はぎゅっと狭くなる胸を押さえながら、ゆっくりと、けれど強い意志を持って足を前に進ませた。


その時、昨日と同じように立ちくらみのような感覚を覚え、私は心の中で“やっぱり”と小さな期待を抱いた。

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