第48話

そして私はそのメモの事を思った。



今の私と、過去の将暉を結ぶものとして持っていた物はこれだけなのだ。


もしもこのメモがタイムスリップに関係していたとしたら・・・。




私は思い立って自分の部屋へ駆け込んだ。




クローゼットの奥からさっきしまい込んだ例のパンドラの箱を再び取り出してきて、その缶を前に私は床に正座したまま一度大きく深呼吸する。


よし、と私は思い切ってその缶の蓋を開いた。




中にはいくつかの将暉からもらった品々が保管されている。



1つ1つ思い出を振り返るように、私はそっと手に取り当時の事を思った。


一見何でもないような紙切れ1つにも胸を焦がすような思い出がぎっしりと詰まっており、6年も経っているというのに色褪せず綺麗なまま残っている。




その中の1つ、出会った時、将暉が携帯につけていたあのグリーンと透明の石のストラップを手に取った。


これはある時、彼が私にくれたものだ。




そしてその日は私にとって人生が180度変わるような、今となっても過去を振り返るのに避けては通れない1日だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る