第41話

「な、なんでマドカがいるの!?」



6年前の過去では、麻央は高校1年生でまだマドカは生まれていないはずだった。



「何言ってんの?」



とても高校生とは思えない落ち着きぶりの麻央は眉をひそめ、怪訝に私を見やる。


そこでようやく自分の服装が高校の制服ではなく、元の服装に戻っている事に気がついた。




怪しむ麻央をよそに、慌ててバッグの中から携帯電話を取り出して日付を確認する。



“2015年8月18日(火) 17:00”



私はまだ状況が理解出来ずにバッグをその場に投げ捨てて、もう一度玄関を出た。




外に出た途端、さっきまでとは明らかに違う空気の匂いがしていた。


春のさわやかな風はなく、夏独特のじんわりとした暑さがそこら中に漂っている。




しかしもしここが現代ならば、今はせいぜい家を出た14時過ぎの1時間くらい後、15時過ぎくらいのはずだった。


日付は元に戻っているが、戻ってきた時間は元の時間より進んでいる。

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