第24話
沢山の人が行き交う中で、私が振り返るとそこには柵があり、その下の線路をオレンジ色のラインの入った電車が満開の桜の中を走っていた。
そこはさっきまでの交差点とは明らかに違っていた。
ただひとつ、私はこの場所に見覚えがあった。
ここはこれから私が向かおうとしていた迎賓館のすぐそばにある駅前だ。
「なに、どういうこと」
私は呆然とそこに立ち尽くした。
さっきの場所からここまでは早く歩いたとしても20分はかかるだろう。
それにも関わらず、246号線を渡った途端、私はこの駅前まで飛ばされてしまったのだ。
思考回路が完全に停止し、自分がどうなっているのか理解出来なかった。
そんな私を怪しげに見ながら、人々は通り過ぎていく。
とりあえず誰かに連絡しようと持っていたバッグの中から携帯を取り出そうとした時、私は自分の身なりに驚愕した。
家を出た時には、ノースリーブのワンピースを着てきたはずなのに、今の私は白のブラウスにグレーのカーディガンを羽織り、ブルーの縞模様のリボン、そしてブルーのプリーツスカートを履いているのだった。
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