第16話
あの修羅場から一ヶ月、
彼は未だにこんなLINEを送りつけてくる。
いつもの私ならあの修羅場を見ても、少し時間が経てばまた許していたかもしれない。
なぜなら彼と別れたところで、私はまた同じような恋愛を繰り返すだろうとわかっているからだ。
だったら一紀でいい、一から恋愛を始めるような行為の方がよっぽど面倒くさい。
それが何度も彼を許して付き合い続けてきた理由だった。
けれどなぜだか今回は、また彼の所へ戻ろうというような気にはなれなかった。
もしかするとあの絵葉書が届いて以来、時折私は将暉と付き合っていた頃の事を思い出していたからかもしれない。
まだ純粋に愛を信じていた若かりし頃の自分。
恥ずかしいくらいにピュアだったあの頃の私が、今の私を見たら何というだろう。
そう思うと何だか情けなくて、申し訳ないような気持ちにもなる。
寂しさを埋めるためだけの恋愛ならば、もうそろそろ卒業するべきなのかもしれない。
私はそんな一紀からのLINEを無視して、携帯をしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます