第14話

なぜかはわからないけれど、彼と過ごした時間の煌めきは他の誰と付き合ってみても未だ味わった事のない感覚だった。


けれども今となってはあの恋愛を思い出す事はほとんどない。



なぜなら思い出すと後悔ばかりだからだ。



彼は高校卒業前のある日、


突然「好きな人が出来た」と私に伝えたのだった。



しかもその相手は私の友人であり、そのあまりにもひどい仕打ちに私はぐしゃぐしゃになるまで泣きながら彼を責め立てた。



けれど彼はそんな私を置いて去っていったのだ。



それから1年近く私は彼を恨んでいた。



恨みは人を幸せにしない、と誰かが言っていたが、本当にその通りだと思う。


愛した分、そのエネルギーは巨大な闇となって私を覆い込んだ。

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