第10話
ふいに鼓動が速くなるのを感じ、ゴクリとつばを飲む。
“将暉”は、私が高校3年の春頃から卒業する間際までの間付き合っていた、いわゆる“元カレ”だった。
その恋愛は彼に寄って突然終止符を打たれ、私としては今でも不完全燃焼の恋の代名詞として心の片隅に留め置かれている遠い記憶の1つだ。
そしてこれが私が誰かに対して、真っすぐに、そして感情的になれた最初で最後の恋愛だった。
この恋の終わりに私は、恋がこんなに辛いならもう二度としない、などと本気で思っていた。
だからこそ、もう二度と会う事も、関わる事もないと思っていた人だった。
・・・なぜ今更、彼はこんな絵葉書を送ってきたのだろう。
到底理解出来なかった。
絵葉書にはそれ以上彼の情報は何も書かれていなかった。
今住んでいる住所も、連絡先もない、その一方通行の絵葉書は、私が長い間封印していた記憶をカタカタと音をたてて蘇えらせようとしていた。
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