第9話
招待状をとりあえず机の上に置き、母から受け取ったもう1枚の手紙を手に持った。
それは1枚の絵葉書だった。
その絵葉書には赤坂にある迎賓館という場所のイラストが一面にプリントされていた。
ここは実家から歩いて30分ほどの所にある。
迎賓館とは赤坂御用地に隣接してあり、海外の要人などが日本にやってきた時、会談や晩餐会、宿泊するために使われている施設だが、2015年の今、普段は門が閉まっており、夏になると毎年10日間限定で一般公開されている。
私も高校の頃1度だけ一般公開日に訪れた事があった。
その外観はまるでベルサイユ宮殿やベルヴェデーレ宮殿を彷彿させるような佇まいで、そこにいるとヨーロッパに旅行しているような気分になれる。
裏を返してみると、そこには短い文章が書かれていた。
“お元気ですか?”
ただ、それだけ。
私は思わず眉をひそめていた。
一体誰だろうと思い、下の方に目を移してみると、そこにはある男性の名前が記してあった。
“浅岡将暉(あさおかまさき)”
その名前を見た途端、私はそれを持つ手を無意識に強く握り直していた。
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