第56話




――――


――



禅夜、想い出をありがとうね。



あなたのおかげで冷たい手が暖かくなった。



あなたのおかげで短いけれど夢を見ることができた。



朝目が覚めたらあなたが居なくなってること―――



ダブルベッドの一人分が空いていて、冷たくなっていようと




私はもう失望しない。




それで新しい一歩を踏み出せると思えば





この一夜は良い経験なのだ。




――――



――





「……ん」



瞼の向こう側が徐々に明るくなったことに気づいて、私はうっすらと目を開けた。



いつの間にか眠っていたようだ。



「モ~ニン♪」



目の前には……



朝日より眩しい禅夜の極上の笑顔。



は……!!?



分けも分からず私は寝起きの目をまばたいて、これが夢じゃないことを確かめた。



「何で!」




何で居るの!!?



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