第53話

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~♪



逃げ出したい。



そう思っていたあの日に僕らは出会った。



翼をもがれて、飛べない僕に君は羽根をくれた。



空へ―――と、背中を押してくれた。




それなのに、



あの日行けなくてごめん。



約束したのに。




でも君のことは忘れたことは一度もない。





僕は人が思うほど強くない。



君も人が思うほど強くない。






信じてほしい。




君が僕の前だけ見せてくれる弱いところが可愛いと思い、



そして迷って立ち止まっていた僕の背中を押してくれて



僕は一瞬で恋に堕ちた。



弱いのか強いのかアンバランスな君が魅力的だ。





あの日の言い訳を何も言えずに今まで来てしまったのは、僕が弱い人間だから。



君に嫌われたらどうしよう。



君が僕以外の男に恋をしたらどうしよう。





臆病な僕はあのときから何も変わっていない。



だから





君に再会できたら言おう。



君に背中を押してもらうのではなく、自分自身で一歩を踏み出すんだ。





“好きだよ”を。





僕の空席を埋めて、君の空席を埋めたい。



僕らはたがいに空席を埋めあい、完全になれる。




そう信じて






飛び上がりたい。





~♪






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