第48話


ピンポーン。



部屋のインターホンはまたも鳴り、私は立ったままその場で硬直。



誰…?





もしかして。





と言う期待があったけれど、期待するとバカを見る。



期待のあとに残るのは虚しい消失感だけ。



どうせルームサービスの間違いかなんかでしょう。



ドアスコープから確認することもせず、ただチェーンはつけたまま



「はい」



私は扉を開いた。



僅かに開けた隙間から



「ルームサービスです」



そう言われて僅かな隙間から赤い薔薇の花束の先が見えた。



やっぱり間違い……てかルームサービスで薔薇の花束頼む人ってどんな人…



そう思ったけれど、






この独特のテノール……






私はチェーンを外して大きく扉を開けると



キャップを目深に被った禅夜が大きな薔薇の花束を手にして





「間に合った」





と肩で息をしながら七年前と同じ笑顔でにっこり笑っていた。




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