第46話
七年前のように、ホテルでチェックインを自分でして部屋に入る。
七年前と同じ部屋―――
何も変わっていないその部屋を見て、そこだけ時間が止まっているように思えた。
でもそれは錯覚なのだ。
私は最初から彼を待つ気ではなく、七年前と同じようにヒールの靴を投げ出し、今度はゆっくり時間を掛けて風呂に浸かった。
七年間と言う年月は確実に私の中に変化をもたらし、彼の登場を夢みる若い恋心はもはや薄れている。
好きじゃない、とかそうゆう理由ではないけれど、半分以上諦めているのだ。
あんな熱烈なラブソングを貰っていながら、それすら夢のような出来事のように思えて
冷え切った部屋に入って目が覚めた。
彼は私と別世界の人間。そんな人がわざわざ時間を割いてまで私に会いにきてくれるわけない。
気づいたら、もう夢すら見ないほど歳をとっていた。
コンサートで疲れた足を癒すために、マッサージをしながら。
バスルームの扉は締め切って。
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