空席のダブルベッド

第42話


■空席のダブルベッド




―――あれから七年。



毎年のように送られてくるチケットと部屋ナンバー。



どのツラ下げてこれを送り続けてるのか知りたかったけれど、私には知る術もない。



事務所に電話を掛けて禅夜を出してもらおう、なんてみっともないこともできなかった。



結局、七年の間そうやって過ぎて私の状況も代わった。



その七年間でPlaceは順調に人気を高めていき、今や彼らの登場を見ない日はないほど大きな存在に変わっていった。



日に何本もCMを見るし、レギュラーで受け持っているバラエティー番組もできたし、メンバーの中には俳優業としてドラマで活躍する者もいる。



ただ禅夜はやはり歌で活躍したいのか、そう言った華々しいテレビの世界にはあまり顔を出さず、メンバーの中でもミステリアスな人として言われている。



ミステリアス…どころかちょっとズレてて、生意気で、可愛いとこもあって―――



その一面を知ってるのは私だけ。



それだけが私のちょっとした自慢。



バカみたいだけど、得意げになって自分の中で彼の存在だけが幻のように大きく膨れ上がる。



そうやって三十は目の前。



七年目、この年を節目としてコンサートに来た。



けじめをつけるため。



今日が終わったら―――






辞表を出そう。






がんばるのを諦めよう。



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