第41話
私はヒールの靴を投げ出し、椅子に腰を下ろした。
落ち着かないそぶりでストッキングの足のまま目的もなく部屋をうろうろ。
テレビをつけてみたり。
BGMをならしてみたり。
一時間ぐらいそうやって過ごしていたけれど、先にシャワーを浴びておくことに決めてバスルームに入った。
シャワーを浴びている最中に、インターホンが鳴る心配をしてバスルームの扉を開けたまま。
でも慌しくシャワーを浴びたあとも、その後暇つぶしに流していたバラエティー番組が終わっても、
ニュースが今日の終わりを告げても、真夜中になっても、カーテンを開けた窓の外が明るくなっても
彼が現れることはなかった。
やっぱり―――……からかわれてただけか。
今頃笑ってるんだろうな…
バカな女だって。
ええ、バカですよ私は。
たった一夜の遊び相手にもならない、女だ。
「来ないってさー、三田よりひどくない?」
チェックアウトをする一時間前、冷たいベッドに腰を下ろしてナンバーが書かれたメモ用紙を冷めた目で眺めた。
それでも三田のときのようにゴミ箱に捨てることができないのは
何故なんだろう。
結局彼の登場を迎えることなく、私はチェックアウトした。
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