第40話


禅夜が言ってた意味ようやく分かったわ。



余力も考えず、つい弾けすぎちゃった。



「もー!!さいっこ~Place!!♪



アオイ大好き~!!」



「私はリクLOVE★」



ホテルのロビーで、地方からのおっかけファンの子たちがまだコンサートの余韻に浸っているのか黄色い声でキャイキャイ。



ゼンは…ゼンはどうなの??



そう思って彼女たちの会話に耳を潜めていると



「あの席最高!ゼンが近くに来てくれたの~~♪♪」



一人の子が言って、禅夜の顔が乗った大きなうちわをひらひら。



ドキリ、とした。



それは複雑な気持ちだった。



禅夜のことを好きになってくれて嬉しいのと、それを知ると彼が私からまた一歩遠ざかっていく気がして。



一瞬だけホテルをから帰ろうと、出入り口に足が向いたものの



やっぱり私はフロントに向かっていた。



『環の名前で予約しておいたから。チェックインだけして部屋で待ってて』



言われた通り私の名前でチェックインすると




上層階の部屋へと案内された。




スイートルームじゃなくて良かったけれど、意味深なダブルベッドが目につく。



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