第39話


真剣だよ、なんて真剣に言われたら疑う気持ちが薄れる。



私はメモを受け取り、



「あー、それとライブのときはそのヒールやめた方がいいよ?」



彼は意味深ににやり。





――――



ライブ当日まで私はずっと部屋ナンバーが書かれたメモとにらめっこ。



う゛~ん…果たしてどこまで本気なのだろうか。



あれから約二ヶ月経ったけれど、その二ヶ月の間で答えを見出せなかった私。



大体二ヶ月もあれば向こうの気が変わるかもしれないし。



鵜呑みにしてノコノコ会いに行くのもバカを見そうだ。



気まぐれかもしれないし。



なんて言うけど、本当はこの部屋に行くことを―――心の中のどこかで決めていた。



ライブ当日、あまのじゃくな私はやめた方がいいと言われていたヒールを履き、仕事帰りだったからスーツと…そして彼がくれたストールを巻いてライブに出かけた。



小さな会場と言ったけれど、ファンの子たちはすでに集まっていて人だかりができている。



アリーナの最前列で、きらびやかな会場の中場違いな私はおずおずとその席に腰を下ろした。



ライブもそうだけど、私はこのあとのホテルの部屋でのことを考えて緊張が止まらない。



その緊張の中、ライブははじまった。



―――その日のライブは盛況だった。



はじめて見る生のPlaceはスマホで聴くその歌よりもずっとずっと良くて、インタビューをしたときよりも禅夜はずっとずっと輝いていた。



そして




足が痛い!



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