第37話


「でも環のおかげで今度CM来た。それも二本!五人のライブ裏側密着取材の番組もあるし」



「ホントに!!」



私は目を輝かせて「キャ~♪良かったぁ」思わず飛び上がり、禅夜と手を叩き合った。



これで私の異動は免れた、ってのはもちろんだけど、やっぱりPlaceのみんながそうやって活躍してくれるのは嬉しいことだ。



「取り上げてくれた環のおかげ。



アオイ(リーダー)も感謝してたよ。



てことでぇ、今度のライブ地方のちっさいホールだけど、席おさえた。



環の席」



そう言って彼はコンサートチケットを取り出し、私の目の前でひらひら。



「え?」



「来てよ。アリーナの最前列♪」



マジで……



「来てよ」



強引でない程度に言って彼は頭をぽんぽん。



何よ、そんなストレートに愛想振りまいてるんじゃないわよ。そんなことされたら…



その気になっちゃうじゃない。



私はおずおずとそのチケットを受け取ると、



「もう悲しくない?」



と彼が聞いていた。



「え……?」



「だってさっき泣いてたじゃん?」



「あーうん…ちょっと自分でもバカなことやっちゃったなーって思って。



イヤになる」



何でか知らないけど、私は禅夜の前で何でも素直に心の内を話せる。




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