第33話


遊ばれてるだけ、ってのは分かってたけどね。



それを笑い話にして言いふらす??



ふざけんじゃないわよ。



私は抱えていた書類のファイルをぎゅっと握って唇を噛んだ。



でもこのまま泣き寝入りするなんてプライドが許さない。



前はこんなこと言われても黙ってやり過ごしていたのに、今は違う―――



こんなにもはっきりと誰かに何かを言えるようになったのも




禅夜のおかげかな。




冷たい?そう言われても結構よ。



冷たくても、禅夜の好きな強い女になってみせるわ。



私は一歩前に進み出ると、喫煙コーナーをノック。



「三田さん」



声を掛けると二人はぎょっとしたように目を開いた。



私はにっこり。



「こないだはどうも“ごちそうさま”でした。



勘違いするほど“おいしく”もなかったのでお気になさらず」



最後は声を低めて彼を睨むと、彼は目を開いたまままばたき。



ふん、女を舐めると痛い目に遭うんですからね!



私はヒールを鳴らしてその場を立ち去った。





最低、最低、最低―――!





何が最低だって……?




そんな男だと見抜けなかった私が






最低。




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