第25話


また私をからかって―――……



生意気よ。



そんな甘い言葉で堕ちるような安い女じゃないわよ、私は―――



でも




落ちたレコーダーと同じように私の心もこのときすでに彼に




堕ちていたのだ。







―――




「……以上でインタビューを終了させていただきます。このたびはお忙しい中お時間を取っていただきありがとうございました」



メンバーの一人一人と握手を交わし、



最後、禅夜の手を握るときは何故か緊張した。



彼の手は骨ばっていて当然だけど私の手より大きい。



細く長いきれいな指が私の手の甲をなぞり、



「冷たい手だね」



そう言って彼の手はすぐに離れていった。



なぜか名残惜しかった。



この手を温めてくれるのが彼であって欲しい、と立場もわきまえず図々しくも願ってしまった。



「今日はありがとうございました」



最後再度リーダーの子に頭を下げられ、私は恐縮したように慌てて頭を下げた。



禅夜より少し年上だろうか、さすがリーダーを任されるだけの落ち着きがあって、いかにも常識がありそうな子だった。



「こちらこそ」



「いえ…ゼンのことです。あいつ……最近本当に参ってみたいだから…」



え……?



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