第24話


「で、ではメンバーの方にお聞きします。現在気になる方とかはいらっしゃいますか」



これは完全な私のアドリブ。



隣の席でアシスタントくんもインタビュー内容の用紙を確認しながら目をパチパチ。



まさかこんなこと聞かれると思ってなかったのか五人は顔を見合わせ―――




ふん



さっきはよくもからかってくれたわね。



これはお返しよ、とばかり私は禅夜を睨んだ。



改めてメンバーを見据えると、メンバーは私のアドリブにも



「仕事が忙しくてまだまだ余裕がありません」



と、これまた無難な答えを返してくる。



そして禅夜は






「居ますよ。気になるレベルじゃなく、何か……堕ちたって感じの人」







またも言い出して、今度こそ私の手からレコーダーが転がり落ちた。



それを慌てて拾うアシスタントくんがレコーダーを私に差し出してくるのさえも分からず、



「運命的な?ゼンてそうゆうの信じるたちだっけ?」



とメンバーの一人がからかうように笑う。






「最初は美人だラッキーぐらいに思ってたけどさ~



俺は色々行き詰ってて、才能や実力に限界を感じてた。




精神的にもかなりしんどくて、そんなときさ



『逃げるな』って背中を押してくれた人なんだ。





俺のこと何も知らないくせに、真面目で凄く真剣に向き合ってくれて



俺がこの仕事を好きなことを気づかせてくれた人。





管理職目指して、マンション買うために貯金して、一人で生きていく決意をしちゃうような人だけど




俺が支えてあげたいな、って思う人」



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